中越防災安全推進機構とは

地域の大学や専門機関の連携を核に産官学民の広範な防災ネットワーク組織をめざして

 2004年10月23日に発生した中越地震は、中越の広範な地域に未曾有の被害をもたらしましたが、その一方で、災害対応や復興について貴重な教訓をもたらしました。災害はいつ、どこで起こるかわかりません。中越地震での被災と復興の経験を、日本全体で活かしていくことは強靭な国づくりにつながります。「中越防災安全推進機構」は、中越地域の教育、研究機関の集積を生かして、多様な主体(行政、教育・研究機関、企業、個人など)が連携、参画することで、中越地震に関する記録や研究活動を推進・支援するとともに、研究成果を安心・安全な地域づくりや防災安全産業の振興に役立てます。

 中越地震から10年が経過。この被災・復興にかかわる経験を全国に発信し、いざという時の復興活動や地域づくりに活用してもらうことは、中越地域が果たすべき役割でもあります。「中越防災安全推進機構」は、これを率先して行なう活動母体をめざします。


「中越防災安全推進機構」設立趣意書

 2004年10月23日夕刻の「新潟県中越地震」発生から1年4ヶ月、被災地は今、19年ぶりの豪雪を上回る2年続きの豪雪の中に埋まり、仮設住宅には、なお2,700世帯、9,000人の被災者が我が家を離れた生活を余儀なくされている。被災地は今、新しい将来像を必死で模索している。現在及び今後の中越地方に何よりも必要なのは総合性の発揮である。総合性の発揮は次の三点で特に必要とされている。

 第一は震災復興である。震災復興は目の前の雪融け後のこと、数年後のこと、10年後のこと、いやもっと先のことを同時に見据えなければならない。何年後を見据えるかは被災者のみならず関係する人や組織の立場、視点によって多様である。多様性は、私たちが未来に向かう一枚の幅広い板を押しているとすれば、エネルギーの分散ではなく確実に板全体が前に向かう方向に集約しなければならない。片方だけ、あるいは一部だけを押しても板全体は前に進んではいかない。

 第二は災害体験の市民化、社会化である。昨年度、今年度と中越の私たちは歴史的にも極めて稀といっていい災害体験をした。地震だけではなかった。地震をはさんで3ヵ月前は集中豪雨であり、3ヵ月後は豪雪であった。私たちはこの体験を個人、家庭、個々の組織や団体それぞれの体験にとどめるのではなく、時間的にも空間的にも共有していかなければならない。時間的つまり歴史的にみれば、中越地方は地すべりや水害の常襲地帯、豪雪地帯であり、過去にも様々な災害体験をしている。先人はそれらを後代に伝えようとしていたが、私たちがそれらを真摯に受け止めていたかを反省しなければならない。空間的には、このたびの水害、地震、豪雪において、中越地方内部で様々な支援、受援がなされるとともに、他都市、他地域のみならず他国からも実に多くの支援を受けた。私たちはこの空間的広がりと繋がりを一過性のものとすることなく、より強固なものとしていかなければならない。

 第三は地域活性化、殖産興業の面においてである。私たちはこのたびの体験から、災害が地域の産業経済活動に決定的な影響を及ぼすものであることを思い知った。それは致命傷にもなりうるし、優れた知識、技術、ノウハウは地域間競争時代の強力な武器にもなる。そして、時代は防災を含めて安全・安心を求め、それを生み出し維持し、より確かなものとしていく新産業・新技術を求める時代に入った。私たちはこのたびの体験を産業経済面の強力な起爆剤、推進力としていかなければならない。

 以上の3点において総合性を発揮するためには、中越地方の市民と産官学の知と技術とパワーの結集が必要である。長岡技術科学大学、長岡造形大学、長岡大学、長岡工業高等専門学校、防災科学技術研究所雪氷防災研究センターの長岡の5研究教育機関はすでに「防災安全コンソーシアム」を結成して共同研究や技術開発の実施等で合意し、「防災安全推進機構」の設立を提唱してきた。本機構はこれに呼応し、中越地域等の教育・研究機関の集積を活かし、市民、行政、企業・諸団体等との協働により、中越地震をはじめとして豪雨、豪雪等の各種災害の記録や研究成果の収集整理、調査研究の一層の深化・充実、成果の社会への普及や還元等の諸活動を推進・支援して、市民・産官学の間の情報の共有化を促進し、安全・安心な地域づくりや防災安全産業の振興に活かすことを主たる目的とする。この目的を達成するために、公平、中立の立場で事業を展開する必要があること、様々な人的ネットワークを効率的、効果的に活用できること、実施する事業が地域の発展に寄与することから、機構を社団法人として設立するものである。